子どもが伸びる「手づかみ食べ」いつから始めればいい!? うれしい効果と注意点
以前は離乳食は自分で食べられるようになるまで親が食べさせるのが一般的でした。
しかし、最近では赤ちゃんに手づかみで食べさせるメリットがたくさんわかってきています。
「手づかみ食べ」は、いまや「道具が上手に使えないうちの仕方ない方法」ではありません。
むしろ、手づかみ主体でガシガシ食べることで、子どもが積極的にご飯を食べる姿勢を作ります。
保育園の創設者である清水フサ子さんは、山口平八さんとの共著である書籍『子どもの「手づかみ食べ」はなぜいいか?』にて、手づかみ食べと子供の成長の関係を紹介しています。
この記事では、そんな話題の「手づかみ食べ」のメリットや方法、注意点を、書籍の内容をもとに紹介していきます。
手を使って食べると運動機能が高まる?
子どもになるべく早く、スプーンやお箸を使って「上手に」食べられるようになってほしいかもしれません。
しかし、早期の道具を使ったトレーニングをすることが、必ずしもよいとはいえない部分があります。
『子どもの「手づかみ食べ」はなぜ良いのか?』によると、早いうちから箸が上手に使えるような子は、なぜか小食だったり、偏食だったりすることが多いそう。無理が生じて、そうなってしまうのかもしれません。
赤ちゃんは生後5カ月頃から、手で触れたものを何でも口に持っていくようになります。
触ったりなめたりすることで五感を働かせ、外の世界の様々な情報を認識していくのです。
指を動かして、様々な感触を得ることで脳が発達していきます。
そして、力のコントロールや食べものと自分の距離感覚などを学んでいき、やがて、道具を使ってもスムーズに動かすことができるようになります。
「手づかみ食べ」は、一見、汚らしいような姿に見えてしまうのがデメリットです。
でも、手づかみ食べを十分に経験させることで、のちのちスプーンや箸を使って綺麗に食べることができるようになっていくといいます。
手づかみ食べはいつから?
「自分で食べたい」という様子が見えたらスタートの目安です。
手づかみ食べで大切なことは、「自分で食べたい」気持ちを尊重すること。
食べることは生きることです。積極的に食べられることが将来の生きる力につながります。
発達スピードによってそれぞれですが、9ヶ月ごろから自我が育つと、自分で食べたがるようになります。
大人がスプーンで口に運ぼうとすると嫌がるそぶりを見せます。そんな兆候が見られたら、1人で手づかみ食べをさせてみるチャンスです。
この頃は、一般的に「歯ぐきでつぶせるかたさ」が食べられるようになってきます。
水や昆布などで煮た大根、にんじん、ブロッコリー、かぶなどの野菜を、ほんの少し皿の上に置き、様子を見ましょう。
小さく切ると、まる飲みする恐れがあるので、煮野菜をスティック状に切ったものを与えます。
はじめは食べものと分からず遊んでしまうかもしれませんが、様子を見ていると自然と口に運ぶことが多いようです。
慣れたら、おにぎり状の軟飯や、離乳食後期には、魚の身を丸めたものにも挑戦しましょう。
3歳まではスプーン&手づかみOK マナーは3歳以降
はじめのうちは、手づかみ食べの豪快さに驚くかもしれません。
食べ物をぐちゃぐちゃにしたり、投げたり・・・などと、思わぬハプニングが。
食べ物で遊んでいるのはマナーが悪いのではと心配になる方もいるかもしれません。
しかし、実はこの行動はお子さまにとって立派な学習なのです。
食べ物への興味の第一歩ですし、手で触った感触・指の力の入れ方・持ち方などは体験しないと覚えられない能力です。
最初のうち指をうまく使えず握りつぶしてみたり、お皿と食べ物が別物だと理解できずこぼしたりする子がほとんどなので、温かく見守りましょう。
テーブルもお皿と思うぐらい広い心で、汚れや散らかりを想定し、机の下に新聞紙やレジャーシートをセットしたり、スモッグ型の食事用エプロンを身に着けさせたりして、対策しましょう。
食と向き合う姿勢は、その子のこれからの生き方に影響します。「汚しちゃダメ」ではなく、「自分で食べて偉いね」と声をかけてあげたいものです。
1歳頃からは、テーブル上にスプーンも置くようにすると、2歳半くらいまでかけてじっくり、手づかみとスプーンの両方で食べられる子が多いです。
箸をうまく使えるようになるのは、4〜5歳ですが、3歳ごろからだんだん箸を使えるようになります。
焦らず、お子さまの意欲を尊重し、成長のペースに合わせて進んでいきましょう。
「手づかみ食べ」の本質は 、効率を追求することより、子どものその時期に合わせた本来の育ちをさせることにあります。
まとめ
9ヶ月ごろの大人がスプーンで口に運ぶことを拒むようになったら、手づかみ食べのはじめどきです。
野菜スティックからはじめて、だんだん魚などレベルアップさせていきましょう。
また、1歳半からスプーンを置き、4〜5歳で箸が使えるようになることを目安に、3歳ごろには手づかみ食べとスプーンの両使いできるように、ゆっくり挑戦していきましょう。
おいしく楽しく食べる経験を積み重ねられるといいですね。
参考文献
『子どもの「手づかみ食べ」はなぜ良いのか?』(山口平八・清水フサ子)
※アトピー性皮膚炎のお子さまは、手づかみ食べにご注意ください。
食物アレルギーを発症する可能性が指摘されています。かかりつけのお医者さんに相談するようにしましょう。